窓のない飛行機

車が空を飛べない理由

「2019年には車は空を飛ぶかと思っていた」という人もいるはずです。1980年代に公開された映画・ブレードランナーの劇中では、技術が格段に進化して車は空を飛んでいました。同年代に作られたバック・トゥ・ザ・フューチャーでも飛行している「デロリアン」に夢中になった人も少なくないでしょう。しかし、あれらの映画が放映され、かれこれ四半世紀半たちますが、一向に車が空を飛ぶけはいはありません。

車は2020年でも道路を走っている

車は相も変わらず道路の上を走り続けています。つまり四半世紀前と状況はほぼ変わらずです。便利になったことと言えば、高速道路が増えたくらいでしょうか。しかし、これでは圧倒的予定調和で面白くもなんともありません。SFファンとしては2019年のニューヨークやネオトーキョーを思い浮かべていたはずですが、これは完全に予想に反した展開です。ではなぜ車はまだ路上を走っているのでしょうか?

車で空を飛ぶために必要なものとは?

なぜ車が空を飛ばないのか・・・先ず飛行の原理を知らなければいけません。飛ぶ前には、翼と一程度の加速が必要になってきます。揚力をえるのに必要な速度は200km以上です。しかし、車はそのような翼がついていません。これでは、滑走路があったとしても飛べるわけがありません。

中には、「ヘリコプターの様にプロペラをつけたらいいじゃないか」という人もいるでしょう。しかし、引力に逆らって浮くためには巨大なプロペラが必要になります。しかも、プロペラがついている時点でそれは車ではありません。

そもそも法整備が追い付かない

ドライバーがパイロットに変われば車は空を飛べるかもしれませんが、それ以上にハードルが高いものがあります。それは「航空法」です。航空法によると航空機(空飛ぶ車含む)は地上から一定の安全距離を取らなければ飛行してはいけないことになっています。都市上空では300m、その他では、150m以上の高度を飛行しなくてはなりません。300mと言えば東京タワーと同じ高さです。また、仮に飛行できる車だとしても建物から30m以上離れた場所からしか飛べません。これでは、便利どころか不便この上ない代物になってしまいます。さらに一定の安全性をクリアするため、数千項目ある国の試験をパスしてなければなりません。

空飛ぶ車は現実的ではない

車が空を飛べない理由をいくつか挙げてみました。技術的には空を飛ぶことは可能ですが、仮に車が飛べたとしても法律のハードルが高すぎて、どこのメーカーも開発したがらないことが分かりました。中には、巨大なドローンを運転しようという野心的な実験をしている企業もありますが、国が試験する安全性をクリアするのは難しい状況です。そのため、これからも当分の間車は当分道路を走り続けるでしょう。